ストレングス&コンディショニング(S&C)とは|筋トレとの違いを目的・中身・測り方で整理

ストレングス&コンディショニング(S&C)とは|筋トレとの違いを目的・中身・測り方で整理 フィットネス

「S&C」「ストレングス&コンディショニング」という言葉を、ジムのサービス名やトレーナーの肩書きで見かけることが増えました。一方で「普通の筋トレと何が違うの?」という疑問には、はっきりした答えが見つかりにくい言葉でもあります。

この記事では、S&C の専門団体である NSCA(National Strength and Conditioning Association)の日本支部・NSCA ジャパンの定義と、厚生労働省・WHO・ACSM(アメリカスポーツ医学会)の資料をもとに、筋トレとの違いを整理します。

先に結論を書きます。

  • 筋トレ(筋力トレーニング)は運動の種類です。厚生労働省は「負荷をかけて筋力を向上させるための運動」と説明しています
  • S&C は、筋力トレーニングを中心に、体力の要素を目的に合わせて総合的に整えていく考え方です。NSCA ジャパンは、筋力トレーニングを本来コンディショニングの一部と位置づけています
  • つまり、筋トレは S&C の中心にある手段です。違いが出るのは「目的」「中身」「測り方」の広さです

本記事は 2026 年 10 月時点の資料に基づきます。運動の指針や研究は更新されることがあります。本記事は運動に関する一般的な情報で、医療上の助言ではありません。持病のある方・妊娠中の方・医師から運動を制限されている方は、始める前にかかりつけ医にご相談ください。

S&C とは——NSCA ジャパンの定義

NSCA ジャパンは、公式サイトで「ストレングス」と「コンディショニング」を次のように説明しています(要約)。

  • ストレングス:筋力やパワー、持久力だけでなく、スピード、バランス、コーディネーションにも関わる「筋の機能」。力が強いことだけでなく、筋肉の働きをコントロールするための神経と筋肉の連携も大切だとしています
  • コンディショニング:競技者にとっては、筋力やパワーを高めながら、柔軟性や全身持久力など競技に関わる要素をトレーニングし、身体の準備を整えること。一般の人にとっては、快適な日常生活を送るために、筋力や柔軟性、全身持久力などの体力要素を総合的に調整すること

そのうえで、筋力トレーニングは本来コンディショニングの一部だが、コンディショニングの中で筋力トレーニングが果たす役割を強調するために、「ストレングス」と「コンディショニング」の 2 語を並べている、と説明しています。

「S&C」は、この 2 語の頭文字です。

筋トレとの違い——目的・中身・測り方

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」は、筋トレを「負荷をかけて筋力を向上させるための運動」と説明し、マシンやダンベルなどを使うウエイトトレーニングのほか、腕立て伏せやスクワットのような自重トレーニングも含むとしています。

これを NSCA ジャパンの定義と並べると、違いは次のように整理できます。

比べる点 筋トレ(筋力トレーニング) S&C(ストレングス&コンディショニング)
何を指すか 負荷をかけて筋力を高める運動 筋力トレーニングを中心に、体力の要素を目的に合わせて総合的に整える考え方と、その指導
目的 筋力や筋肉量を高める 競技の準備、または快適な日常生活のための体力づくり
中身 ウエイトや自重のトレーニング 筋力トレーニングに加え、パワー・スピード・バランス・柔軟性・全身持久力なども、目的に応じて組み合わせる
測り方 扱う重さや回数、筋肉量など 目的に関わる体力をテストや記録で確かめ、プログラムを調整する

どちらが上ということではありません。筋トレは S&C の中心にある手段で、S&C はその筋トレを「何のために、何と組み合わせ、どう確かめるか」まで含めて考える枠組み、という関係です。

同じ筋トレでも、組み方で伸びる力が変わる

2026 年 3 月、ACSM は筋力トレーニングの処方に関する新しいポジションスタンド(公式見解)をオンラインで先行公開しました。2009 年版を更新するもので、137 本の系統的レビュー(複数の研究を集めて評価した論文)、参加者 3 万人超の結果をまとめています。

その中で ACSM は、運動をしない場合と比べて、筋力トレーニングで筋力・筋肉量・パワー・筋持久力・歩く速さ・バランス・身体機能などが改善したとしています。そのうえで、多くの条件は結果に一貫した差を生まなかった一方、次のような傾向をまとめています。

  • 筋力:重い負荷(最大挙上重量の 80% 以上)、全可動域(関節を大きく動かしきる範囲)、2〜3 セット、セッションの最初に行う、週 2 回以上、といった条件で高まりやすい
  • 筋肉量:週 10 セット以上の量や、下ろす動作に負荷をかける工夫で高まりやすい
  • パワー:中程度の負荷(最大挙上重量の 30〜70%)、速く持ち上げるトレーニング、オリンピックリフティング系の種目(クリーンやスナッチのように、バーベルを一気に持ち上げる種目)で高まりやすい

「筋トレ」とひとことで言っても、重さ・速さ・量の組み方によって、伸びやすい能力が変わるということです。S&C で目的を先に決めるのは、この組み方を選ぶためです。

なお、これらは健康な成人を対象にした研究のまとめです。初心者がいきなり重い負荷を扱うことを勧めるものではありません。

アスリートでなくても関係するのか

関係します。NSCA ジャパンの定義にあるとおり、コンディショニングには「一般の人々が快適な日常生活を送るため」という目的も含まれています。

公的な指針も、筋力トレーニングを一般の成人に勧めています。

  • WHO(2020 年のガイドライン):成人は、中程度以上の強度で、すべての主要な筋肉群を使う筋力強化の活動(筋トレなど)を週 2 日以上行うこと。あわせて、中程度の強度の有酸素運動を少なくとも週 150〜300 分(高い強度なら 75〜150 分)行うこと
  • 厚生労働省(2023 年のガイド):成人と高齢者に、筋トレを週 2〜3 日行うことを推奨。筋トレと有酸素性の身体活動を組み合わせると、さらなる健康増進効果が期待できるとしています

では、筋トレと有酸素運動を同じ時期に行うと、筋トレの効果が落ちないのか。健康な成人を対象にした 43 研究の系統的レビュー(Schumann ら、2022 年)では、有酸素運動を加えても、最大筋力と筋肉量の伸びは妨げられませんでした。一方で、瞬発的な力の伸びは小さくなる可能性があり、特に同じセッションの中で両方を行う場合に目立ったと報告しています。その後の 59 研究のレビュー(Huiberts ら、2024 年・18〜50 歳の健康な成人)では、男性の下半身の筋力の伸びがわずかに小さくなる結果も出ており、最大筋力への影響は研究によって幅があります。

どの能力を優先するかで、同じ週の中の並べ方を変える。これも S&C の「組み合わせる」部分です。

研究で分かっていること——けがのリスクと、その限界

S&C の目的の一つとしてよく挙げられるのが、けがのリスクを下げることです。ここは研究の対象と数字の幅を正確に見ておく必要があります。以下はいずれも、ランダム化比較試験(参加者を無作為に分けて比べる試験)をまとめた研究です。

研究 対象 結果(リスク比。1 より小さいほどけがが少ない)
Lauersen ら(2014 年) スポーツ傷害の予防を調べた試験 25 本・26,610 人(ストレッチなど他の方法を含む全体の数) 筋力トレーニングを扱った試験だけを分けて解析した値:0.315
Lauersen ら(2018 年) 筋力トレーニングによる予防の試験 6 本・12〜40 歳の 7,738 人 0.338。筋力トレーニングの量が 10% 増えると、けがのリスクが 4 ポイント以上下がる関係
Chen ら(2025 年) 接触のあるスポーツ(コンタクトスポーツ)の試験 16 本 0.70

3 本とも、筋力トレーニングを含む予防プログラムで、スポーツ中のけがが少なかったという方向で一致しています。ただし、結果には 0.3 程度から 0.7 程度までの幅があります。

注意したい点が 2 つあります。

  • 対象はスポーツをする人です。日常生活のけがや、スポーツをしない人に同じ数字が当てはまるとは限りません
  • 集団としてリスクが下がったという結果で、一人ひとりのけがを防ぐ保証ではありません

S&C コーチは医療職ではない

NSCA の「ストレングス&コンディショニング専門職の基準とガイドライン」(2017 年改定版・NSCA ジャパン訳)は、付録 1「ストレングス&コンディショニング専門職の定義」で、その仕事を、主にアスリートを対象に、体力を測るテストを行い、安全で効果的なトレーニングのプログラムを作って実施すること、などと説明しています。

同じ文書は、S&C が医療や栄養などの専門職とは別の専門職であり、適切な場合にはそれらの専門職に相談し、委託(紹介)するとしています。

また、けがや病気から復帰する人は、トレーニングを再開する前に医師の許可を得ることも求めています。痛みや持病がある場合の診断や治療は、医師など医療の専門職の役割です。

FitSync のストレングス&コンディショニング(1 対 1)

FitSyncは、六本木・新宿御苑前・西新宿・渋谷・銀座・麻布十番の 6 つの GYM と出張レッスンで東京主要エリアに対応するパーソナルジムです。筋力トレーニングとコンディショニングを専門とするパーソナルトレーニング/ストレングス&コンディショニングの1対1セッションをご提供しています。

セッションの進め方

FitSyncのパーソナルトレーニングでは、初回に目標と現在の体力・運動経験を確認し、お一人おひとりに合わせて安全なエクササイズを選択します。フォーム(正しい動き方)を丁寧に確認しながら、段階的にプログラムを進めていきます。

  • 目標のヒアリング(筋力・ボディメイク・体重管理・競技パフォーマンスなど)
  • 現在の体力レベル・運動経験の確認
  • 安全なエクササイズの選択とフォーム指導
  • 段階的なプログラム作成と進捗の確認

トレーナー

レヴェンテ・ホルヴァート(Levente Horváth)/パーソナルトレーナー/ストレングス&コンディショニングコーチ

約10年のコーチング経験を持つ、筋力トレーニング・コンディショニング・ファンクショナルフィットネス専門のトレーナー。柔道初段・ボディビル・CrossFitの競技経験を指導に活かしています。セッションは英語と簡単な日本語で行います。

初回セッションはレヴェンテが担当します(英語と簡単な日本語)。

料金はジムごとに設定しています。パーソナルトレーニングの料金表をご覧ください。

※医療行為・治療・リハビリテーションは行っておりません。持病のある方・妊娠中の方・医師から運動を制限されている方は、事前にかかりつけ医にご相談ください。

S&C コーチの視点で、AI が作った初心者向けの筋トレメニューを確認した実例は「ChatGPT 系モデルの筋トレメニューを S&C コーチが添削」にまとめています。英語でのセッションを考えている方は「六本木で英語のセッションを受ける前に知ること」、料金の比べ方は「パーソナルトレーナーの料金と選び方(東京)」もあわせてどうぞ。

まとめ

  • 筋トレは「負荷をかけて筋力を高める運動」。S&C は、その筋トレを中心に、体力の要素を目的に合わせて総合的に整える考え方
  • 違いは「目的」「中身」「測り方」の広さ。同じ筋トレでも、重さ・速さ・量の組み方で伸びる能力が変わる
  • アスリート専用ではない。NSCA ジャパンは、一般の人が快適な日常生活を送るためのコンディショニングも定義している
  • けがのリスクについては、スポーツをする人を対象にした研究で、筋力トレーニングを含む予防プログラムの効果が報告されている。ただし数字には幅があり、個人のけがを防ぐ保証ではない

本記事は運動に関する一般的な情報で、医療上の助言ではありません。痛みや持病のある方は、トレーニングを始める前に医師にご相談ください。

参考文献

  • NSCA ジャパン「NSCA が大事にしていること – ストレングス&コンディショニングについて」(2026 年 10 月 1 日閲覧). nsca-japan.or.jp
  • NSCA(NSCA ジャパン訳)「ストレングス&コンディショニング専門職の基準とガイドライン」2017 年改定版. PDF
  • 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」参考情報「筋力トレーニングについて」. PDF
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