ジムで筋トレとランニングマシン(有酸素運動)の両方をやる日、「どちらを先にやればいいのか」と迷ったことはないでしょうか。
この記事では、筋トレと有酸素運動を同じ日に続けて(同じセッションの中で)行うときの順番を扱った論文(2018〜2026 年のメタ解析とレビュー。順番を一部として扱うものを含む)をもとに、順番で変わること・変わらないことを整理します。
先に結論を書きます。
- 持久力は、順番で差が出ていません。持久力を順番別に調べたメタ解析・レビューは、いずれも順番が持久力を大きく左右するとは結論していません
- 脚の筋力は、筋トレを先にしたほうがやや伸びやすい傾向があります。ただし差は大きくなく、確からしさにも幅があります
- 筋肉量と体脂肪率は、順番による差が確かめられていません。ダイエットのために順番を気にする根拠は、いまのところ乏しいということです
つまり、いちばん伸ばしたい能力が脚の筋力なら筋トレを先に。それ以外は、続けやすい順番でも大きな差は見られていない、というのが研究から言えることです。
本記事は 2026 年 10 月時点の資料に基づきます。運動の研究は更新されることがあります。本記事は運動に関する一般的な情報で、医療上の助言ではありません。持病のある方・妊娠中の方・医師から運動を制限されている方は、始める前にかかりつけ医にご相談ください。
そもそも、なぜ「順番」が気になるのか
筋トレと有酸素運動を同じ時期に行うと、筋トレの効果が落ちるのではないか——この心配は「干渉効果」と呼ばれ、長く研究されてきました。
「ストレングス&コンディショニング(S&C)とは」で紹介したとおり、健康な成人の研究をまとめた系統的レビュー(Schumann ら、2022 年)では、有酸素運動を加えても最大筋力と筋肉量の伸びは妨げられませんでした。一方で、瞬発的な力の伸びは小さくなる可能性があり、特に同じセッションの中で両方を行う場合に目立ったと報告しています。
では、同じセッションで両方を行うなら、どちらを先にすればよいのか。ここからが本題です。
なお、ここでの結論は、続けて行う持久力トレーニングと筋トレの順番についてのもので、筋トレ前の軽いウォーミングアップの是非を示すものではありません。
研究で分かっていること——メタ解析とレビュー 6 本
順番を扱った論文(順番を一部として扱うものを含む)を、公開の古い順に並べます。「筋トレ先」は筋トレの後に有酸素運動、「有酸素先」はその逆です。
| 研究 | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| Eddens ら(2018 年・メタ解析) | 同じセッション内の順番を比べた 10 研究(健康な成人・5 週間以上) | 下半身の動的筋力(持ち上げる動作での筋力)は筋トレ先がより伸びた(差は 6.91%、95% 信頼区間 1.96〜11.87%)。下半身の筋肉量・静的筋力・最大酸素摂取量・体脂肪率は順番で差なし |
| Murlasits ら(2018 年・メタ解析) | 同じセッション内の順番を比べた研究 | 下半身の最大挙上重量は筋トレ先が 3.96 kg 多く伸びた(95% 信頼区間 0.81〜7.10 kg)。最大酸素摂取量は差なし |
| Gao ら(2023 年・メタ解析) | ランダム化比較試験 19 本・482 人 | 最大酸素摂取量は差なし。下半身の筋力は筋トレ先がわずかに大きく伸びた(標準化平均差 0.19、95% 信頼区間 0.02〜0.37)。下半身のパワー(瞬発的な力)は差なし |
| Vikestad ら(2024 年・系統的レビュー) | 持久力の結果を比べたランダム化比較試験 15 本・426 人 | 持久力の伸びに対する順番の差は小さく、はっきりしない |
| Feng ら(2026 年 1 月公開・レビュー) | 研究 42 本(動物実験を含む・検索期間 1980〜2024 年) | 人の研究では、持久力・筋肉量・最大筋力の最終的な伸びと順番の間に一貫した関係はない。著者らは、筋トレ先が体重あたりの筋力と瞬発的な力に有利に働くと解釈 |
| Held ら(2026 年 2 月公開・総説) | 筋トレと有酸素運動の併用全般を扱ったメタ解析 17 本を束ねた総説(順番はその中の一部の分析) | 順番による有意な差は見られなかった。筋トレ先のほうが筋力(と、有意ではないが筋肉量)で伸びやすい傾向 |
持久力を順番別に調べた 5 本のうち、Vikestad らは「差は小さく、はっきりしない」、ほかの 4 本は「差なし」または「一貫した関係なし」でした。いずれも、順番が持久力を大きく左右するとは結論していません。
筋力は、指標によって結果が分かれます。下半身の筋力(挙上重量や膝まわりの最大筋力など)は、2018〜2023 年のメタ解析 3 本で筋トレ先がやや有利でした(Eddens らでは、動的筋力は有利・静的筋力は差なし)。2026 年の総説では有意差はなく傾向のみ、2026 年のレビューでは、最大筋力について順番との一貫した関係は見られませんでした。
読むときの注意——「筋トレ先が正解」とまでは言えない理由
結果を実際のトレーニングに当てはめる前に、条件を確認しておきます。
- 差が確かめられているのは主に下半身の筋力です。数字を示した 3 本(Eddens ら・Murlasits ら・Gao ら)は、いずれも下半身の筋力を調べた結果です
- 差は大きくなく、確からしさにも幅があります。Gao ら の標準化平均差 0.19 は一般に「小さい」とされる大きさで、信頼区間の下限(0.02)はほぼゼロです。Eddens(下限 1.96%)や Murlasits(下限 0.81 kg)も、信頼区間の幅が広くなっています
- 研究どうしが重なっています。メタ解析は同じ元の研究を含むことが多く、6 本を「6 回確かめられた」と足し算することはできません
- 対象は主に健康な成人で、トップ選手のデータは少ないと、2026 年の総説自身が書いています。Gao ら では、筋トレ先の有利さは高齢の方・女性・8 週間を超えるプログラム・週 2 回の頻度で目立っていました
- 瞬発的な力(パワー)は研究で結果が分かれています。Gao ら では差がなく、Feng らは筋トレ先が有利に働くと解釈しています
目的別の考え方
研究の結果を、目的ごとに当てはめるとこうなります。
脚の筋力をいちばん伸ばしたい場合
筋トレを先に行うほうが、研究の方向とそろいます。スクワットなど、脚で扱う重さを伸ばしたい時期は、筋トレを先にする理由があります。
持久力を伸ばしたい場合
持久力を順番別に調べた論文は、いずれも順番が持久力を大きく左右するとは結論していません。順番は、持久力の伸びを左右する要因としては見つかっていないということです。
体脂肪を減らしたい場合
体脂肪率を順番別に調べたのは、ここで紹介した中では Eddens らのメタ解析 1 本(10 研究)で、有意な差は見られませんでした。ほかの論文は体脂肪を主な結果にしていないため、「有酸素を先にすると脂肪が落ちやすい」といった順番の工夫で体脂肪が変わるかどうかは、健康な成人の研究では確かめられていません。有酸素運動と筋トレの役割の違いは「ダイエットには有酸素運動と筋トレ、どっちが効く?――脂肪・筋肉・代謝の3視点で読み解く」で整理しています。
同じ日の中で時間を空けられる場合
続けて行わず、時間を空けるのも選択肢です。Feng らのレビューは、有酸素運動を先にするなら筋トレまでの間を 3 時間以上空けること、瞬発的な力や体重あたりの筋力を狙う選手には筋トレ先を勧めています。3 時間の推奨は、運動の直後に体の中で起きる反応(分子レベルの応答)が順番で変わることを根拠にしたもので、同じレビューは、その直後の反応が長期の伸びにどうつながるかは複雑で、単純には結びつかないとも書いています。
前に紹介した Schumann らのレビューでも、瞬発的な力の伸びが小さくなる傾向は、同じセッションで両方を行った場合に目立ち、3 時間以上空けた場合には有意ではありませんでした。
どの能力を優先するかで並べ方を決める——これは S&C(ストレングス&コンディショニング)の考え方そのものです。目的が「健康のために両方続けたい」なら、健康な成人の研究では、続けやすい順番でも大きな差は見られていません。有酸素運動のあとに筋トレをする日は、疲れでフォームが崩れないよう、重さや回数を調整してください。
FitSync のストレングス&コンディショニング(1 対 1)
FitSyncは、六本木・新宿御苑前・西新宿・渋谷・銀座・麻布十番の 6 つの GYM と出張レッスンで東京主要エリアに対応するパーソナルジムです。筋力トレーニングとコンディショニングを専門とするパーソナルトレーニング/ストレングス&コンディショニングの1対1セッションをご提供しています。
セッションの進め方
FitSyncのパーソナルトレーニングでは、初回に目標と現在の体力・運動経験を確認し、お一人おひとりに合わせて安全なエクササイズを選択します。フォーム(正しい動き方)を丁寧に確認しながら、段階的にプログラムを進めていきます。
- 目標のヒアリング(筋力・ボディメイク・体重管理・競技パフォーマンスなど)
- 現在の体力レベル・運動経験の確認
- 安全なエクササイズの選択とフォーム指導
- 段階的なプログラム作成と進捗の確認
トレーナー
レヴェンテ・ホルヴァート(Levente Horváth)/パーソナルトレーナー/ストレングス&コンディショニングコーチ
約10年のコーチング経験を持つ、筋力トレーニング・コンディショニング・ファンクショナルフィットネス専門のトレーナー。柔道初段・ボディビル・CrossFitの競技経験を指導に活かしています。セッションは英語と簡単な日本語で行います。
初回セッションはレヴェンテが担当します(英語と簡単な日本語)。
料金はジムごとに設定しています。パーソナルトレーニングの料金表をご覧ください。
※医療行為・治療・リハビリテーションは行っておりません。持病のある方・妊娠中の方・医師から運動を制限されている方は、事前にかかりつけ医にご相談ください。
まとめ
- 筋トレと有酸素運動を同じセッションで続けて行うとき、持久力は順番で差が出ていない
- 脚の筋力は、筋トレを先にしたほうがやや伸びやすい傾向。ただし差は大きくなく、確からしさにも幅がある
- 筋肉量・体脂肪率は、順番による差が確かめられていない。ダイエットのための順番の工夫には根拠が乏しい
- いちばん伸ばしたい能力で順番を決める。それ以外は、続けやすい順番でも大きな差は見られていない。有酸素を先にするなら、時間を空ける案もある
本記事は運動に関する一般的な情報で、医療上の助言ではありません。痛みや持病のある方は、トレーニングを始める前に医師にご相談ください。
参考文献
- Eddens L, van Someren K, Howatson G. The Role of Intra-Session Exercise Sequence in the Interference Effect: A Systematic Review with Meta-Analysis. Sports Med. 2018;48(1):177-188. PubMed 28917030
- Murlasits Z, Kneffel Z, Thalib L. The physiological effects of concurrent strength and endurance training sequence: A systematic review and meta-analysis. J Sports Sci. 2018;36(11):1212-1219. PubMed 28783467
- Gao J, Yu L. Effects of concurrent training sequence on VO2max and lower limb strength performance: A systematic review and meta-analysis. Front Physiol. 2023;14:1072679. PubMed 36776981
- Vikestad V, Dalen T. Effect of Strength and Endurance Training Sequence on Endurance Performance. Sports (Basel). 2024;12(8):226. PubMed 39195602
- Feng Z, Ying W, Jun W. The effects, mechanisms, and influencing factors of concurrent strength and endurance training with different sequences: a semi-systematic review. Front Sports Act Living. 2025;7:1692399(2026 年 1 月 23 日公開). PubMed 41669271
- Held S, Wolf L, Rappelt L, et al. Maximizing Adaptations in Concurrent Training: An Umbrella Review of Meta-analyses. Sports Med. 2026;56(6):1489-1512. PubMed 41762427
- Schumann M, Feuerbacher JF, Sünkeler M, et al. Compatibility of Concurrent Aerobic and Strength Training for Skeletal Muscle Size and Function: An Updated Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2022;52(3):601-612. PubMed 34757594


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